インドネシアにおける退職金規定

従来労働法で規定されていたインドネシアの退職金規定はオムニバス法によって変更があり、2021年政令第35号にて定められました。

インドネシアにおける退職給付は下記の3つの要素から成り立っています。

  1. Uang Pesangon(退職手当)
  2. Uang Penghargaan Masa Kerja (勤続功労金)
  3. Uang Pengganti Hak(権利補償金)

会社都合退職手当及び勤続手当金は勤続年数に応じて、下記の表に基づき支給を行います。

会社都合退職手当金勤続手当金
勤続年数会社都合退職手当勤続年数勤続手当
1年未満1ヶ月基本給3年未満
1年以上2年未満2ヶ月基本給3年以上6年未満2ヶ月基本給
2年以上3年未満3ヶ月基本給6年以上9年未満3ヶ月基本給
3年以上4年未満4ヶ月基本給9年以上12年未満4ヶ月基本給
4年以上5年未満5ヶ月基本給12年以上15年未満5ヶ月基本給
5年以上6年未満6ヶ月基本給15年以上18年未満6ヶ月基本給
6年以上7年未満7ヶ月基本給18年以上21年未満7ヶ月基本給
7年以上8年未満8ヶ月基本給21年以上24年未満8ヶ月基本給
8年以上9ヶ月基本給24年以上10ヶ月基本給

【権利補償金】

労働法156条4項に基づく下記3つの要素が権利補償金となります。

  1. 未取得の有給休暇
  2. 雇用当時に勤めていた地域への交通費(労働者及び家族分を含む)
  3. 雇用契約、社内規則、労働協約で定められたその他の補償金

従来の労働法では住宅と医療補償が権利補償金の一部となっていたが、オムニバス法と退職に関する2021年政令第35号では含まれない形となっています。

住宅と医療補償=退職手当+勤続手当の15%相当額

権利補償金の他にオニムバス法において改正があるのは解雇事由による退職手当と勤続手当金の倍率です。改正後は下記の通りとなっており、コロナ禍の日本企業に影響があるのは会社の閉鎖や整理解雇による部分となります。

解雇事由退職手当勤続功労金
定年退職1.75倍1倍
12ヶ月を超える長期障害・病気2倍1倍
労働者の死亡2倍1倍
会社の合併、閉鎖、整理解雇
(会社に損失が発生していない場合)
1倍1倍
会社の閉鎖、整理解雇
(直近2期以上連続して会社に損失が発生している場合)
0.5倍1倍

2021年政令第35号より一部のみ抜粋。

【自己都合退職】

自己都合退職の場合は社内規則や雇用契約に基づき、退職手当(uang pisah)や権利補償金が支給されます。ただし規定がない場合、原則として自己都合による退職では退職金を支給は無しとなります。

(ケース①)
勤続年数 4年6ヶ月

基本給  IDR 7,000,000
解雇事由 会社の合併(雇用者より解雇の申し出)

会社都合退職手当基本給 × 5ヶ月 × 1
 IDR 7,000,000 × 5ヶ月 × 1
 IDR 35,000,000
勤続手当金基本給 ×2ヶ月×1
 IDR 7,000,000 ×2ヶ月 ×1
 IDR 14,000,000

(ケース②)
勤続年数 24年

基本給  IDR 12,000,000
解雇事由 定年退職

会社都合退職手当基本給 × 9ヶ月 × 1.75
 IDR 12,000,000 × 9ヶ月 × 1.75
 IDR 189,000,000
勤続手当金基本給 ×10ヶ月×1
 IDR 12,000,000 ×10ヶ月 ×1
 IDR 120,000,000

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