インドネシアにおける予納税(PPh25)について

PPh25とは

特定のサービスや商取引自体に課せられる源泉税ではなく、個人または法人の予納所得税を指します。個人・法人共に納税期限は毎月15日、申告期限は毎月20日です。前年の確定申告を基に算出された金額を毎月納税します。

法人の予納税の期間は会計年度と連動しており、前年度の年次申告を行った月から納税義務が発生します。例えば12月決算の会社の場合、通常確定申告は4月末が期限となり、4月中に年次申告を行った場合、予納税の納付は5月(4月分)から翌年の年次申告完了時までとなります。

個人納税におけるPPh25

個人確定申告(SPT 1770)にて年間の最終所得税額を確定申告する必要があります。申告額について、給与所得が1社からのみの場合は、年末調整票(1721-A1)と同額となります。複数企業に勤めている場合や国外所得がある場合、所得の合算を行い追加納付が発生します。

最終所得税額から既納済みのPPh21・PPh24(外国税額控除)・PPh25を差し引いた残額に対し、追加納税となった場合はPPh29を納めます。対して、既納済み税額が最終所得税額より多くなった場合は過払いポジション(PPh28)となり、還付請求の対象となります。

当年の確定申告に対し、翌年の国外所得が大きく減少する場合、翌年にPPh25を払い続けることで過払いとなってしまい、翌年度の確定申告還付請求及び税務調査が必要となってしまいます。仮に当年の確定申告時点で翌年の状況がある程度読める場合、その点をを織り込んで翌年のPPh25を調整することができます。例えば以下のようなケースが該当します。

  1. 前年度は日本で多額の特別手当が支給されていたが、今後はそれがない場合。
  2. 日本所得を減額してインドネシア所得を増額するなど、2国間の所得バランスの変更を今後行う場合。
  3. 個人へ支給される所得自体には大きな変動はないが、今後、日本本社が日本所得の人件費負担について現地法人へ請求を開始する場合。

法人納税におけるPPh25

年次法人税申告において、確定年税額から既納済み源泉税額(PPh22/23/25など)を差し引いた残額に対して、追加納税となった場合はPPh29を納めます。もしくは、既納済み税額が確定年税額より多くなった場合は過払いポジション(PPh28)となり、還付請求の対象となります。

法人におけるPPh25計算方法

  1. 前年度に発生した営業外収益・費用は課税所得から控除します。
  2. 上記で算出された課税所得に法人税率を掛けて、法人税額を計算します。
  3. 法人税額から PPh22(輸入時の前払法人税)・PPh23(国内役務提供などに関わる源泉税)を減額します。
  4. 算出済みの金額を12等分で割り、翌期の月次予定納税額を計算します。

租税総局長による予納税の決定

租税総局長は下記のような場合において進行中の課税年度における予納税を決定する権利があります。

  1. 納税者に欠損補填の権利があるとき又は臨時収益があったとき
  2. 前年度の年次報告書の提出が期限を過ぎて提出されたとき
  3. 年次報告書提出期限延期が認められたとき
  4. 年次申告書の修正により予納額が増額となったとき
  5. 納税者の事業・活動内容に変更があったとき

予納税の減額申請

税務総局長決定KEP 537/PJ/2000では次のように規定されています。

年度開始から3ヶ月後以降、納税者が納税すべき当年度の見込み所得税額(法人税額)が前年度の75%を下回った場合、予納税の減額を申請できます。納税者は所轄の税務局長に対して以下の書類を提出する必要があります。

  1. 前年度に比べて所得税額(法人税額)が75%を下回った旨とその合理的な理由を記載した文書
  2. 3ヶ月以上の実績財務諸表と年度終了までの予想収支の計算書
  3. 実績財務諸表と予想収支の計算書に基く当該年度法人税の予想計算書

申請書の受領日から一か月以内に税務局長から返答が無い場合、申請は受理されたとみなされます。実際のケースでは、申請後に税務局から聞き取り調査が入りますので会社の財務状態の説明と、その背景を税務調査官にしっかりと説明する必要がございます。減額申請において重要な点は、財務状況やそこに至る背景が社会通念上相当であっても、最終的には各税務局の判断に委ねられるという点です。

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