2023年6月27日付で、現物給付における個人所得税の取り扱い関する追加法令として、財務大臣規則2023年第66号(PMK66 tahun 2023)が発布されました。
本件に関する法的根拠については、国税規則調和法(UU HPP No.7 tahun 2021)および昨年末に発布された財務大臣令(PP55 tahun 2022)に続くものとなります。
本規則では、主に現物給付のうち個人所得税の課税対象外となる費用について規定されているほか、現物給付規則の適用時期についての記載もあります。
以下、特に日系企業および駐在員に関わりのありそうなものを抜粋します。
住居費用
昨年来、多くの日系企業において駐在員の住居費用(アパートメント費用等)については、金額が大きく、明らかに課税対象に当たるとして、個人所得へ算入の上個人所得税の計算を行っています。
本規則では1か月あたり2,000,000ルピアまでの現物給付は個人所得税の対象外と規定されました。すなわち、これを超える金額については課税対象となります。
例えば1か月の住居費用が20,000,000ルピアの場合、18,000,000ルピアを個人所得に算入して個人所得税を計算する必要があります。
他方、法人経費としてはこれまで駐在員の住居費用は全額損金不算入とされていましたが、今後現物給付として個人所得税を納税することで、20,000,000ルピアの家賃費用について全額を損金算入費用とすることができます。
車両費
車両費を個人所得税の課税対象外とするには、以下二つの条件を両方とも満たす必要があります。
- 受給者が会社に資本参加していない(株主ではない)
- 過去12か月間の平均月収(グロス収入)が100,000,000ルピア/月を超えていない
2の平均月収の計算方法については以下の通りとなります。
- グロス収入とは、他の課税対象となる現物給付(住居費用)やグロスアップした個人所得税(PPh21)、および車両費を含んだ総収入を指す。
- 入社が過去12か月以内の場合は、勤務月数で月割りして平均月収を算出する。
過去12か月間の平均月収に応じて課税対象の適否が決まるため、インセンティブなどがあり収入の増減が激しい場合は、前月は車両費を課税対象としたが、当月はしない、といったことも発生するため、毎月計算が必要となります。
なお、グロス収入を計算するにあたっての車両費にドライバーの給与は含まれますが、高速代・ガソリン代等を含めるかについては本規則で規定されておらず、計算方法によっては今後当局の見解と相違が生じる可能性もあります。
規則適用時期
本規則は2023年7月1日より適用されます。
2023年1-6月分については、個人確定申告で対応するか、7月以降12月末までに法人が源泉納付で対応することができます。
しかしながら、本規則は依然として不明瞭な部分や、過去の上位法令と齟齬が生じる条文もあり、引き続き追加法令の動向に注視する必要があります。
本規則にて個人所得税の課税対象外と明言されていない現物給付については、課税対象になりうることを念頭に置きつつ個人所得へ算入するか否かを検討することとなります。